「宮城峡」の基礎知識|限定生産ボトルの価値は高い?各商品の詳細を紹介
そのフルーティで華やかな味わいから、人気を集める「宮城峡」。限定生産ボトルも数多くリリースされ、中には数倍、数十倍ものプレ値をつけるボトルもあります。今回は、そんな宮城峡の基本知識や種類、入手方法などを紹介します。
(TOP画像引用:ニッカウヰスキーオフィシャルサイト(英語版))
「宮城峡」とは
ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏によって創設された宮城峡蒸留所。その蒸留所で作られているウイスキーが「宮城峡」です。宮城峡は同社が製造する「余市」と同じシングルモルトウイスキーで、余市とは対照的なフルーティさと華やかさを持ち合わせます。
2013年には世界的に権威のあるISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で「シングルモルト宮城峡」と「宮城峡 10年」が金賞を獲得しています。
「宮城峡」は原酒不足のため、ノンエイジ(年数表記のないボトル)以外の銘柄は2017年に終売となりました。そのため、現在も入手が難しい状況が続いています。
宮城峡の魅力
宮城県青葉区ニッカにある宮城峡蒸留所は、余市蒸留所のオープンから約30年後にニッカ第2のモルトウイスキー蒸留所として開設されました。宮城峡は、余市と対照的な個性を持っています。
余市は石炭による直火蒸留、宮城峡はスチームによる蒸留方法がそれぞれ採用されました。 直火蒸留はトースティな香りが付き力強い酒質となりやすく、スチーム蒸留は穏やかでライトな酒質となりやすい傾向があります。
宮城峡は、華やかでフルーティさに富んだ原酒をシェリー樽や新樽を用いて、軽快な中にも深みと厚みのある味わいに仕上げられています。味わったならば、竹鶴氏が修行したスコットランド・スペイサイド地区のモルトウイスキーに近い印象を持つでしょう。
「日本のウイスキーの父」竹鶴政孝氏について
竹鶴氏はウイスキーづくりへの深いこだわりを持ちつつも、既成概念にとらわれない発想を持ち合わせていました。また、かつての英国首相が「頭のいい日本の青年が、一本の万年筆とノートでウイスキーの秘密を盗んでいった。」と、スピーチしたほどの勤勉さを持った方です。
また、ウイスキーづくりに欠かせない確かな感覚も持ち合わせており、余市蒸留所に続く蒸留所の場所を検討していた際には、複数の候補地の中から仙台にある広瀬川と新川(にっかわ)という2つの清流に囲まれる地を訪れました。そこで持っていたウイスキーを新川の水で割って飲み、この地に即決したといわれています。
竹鶴政孝は愛妻家としても知られていて、妻・リタにちなんだウイスキーを数多くリリースしています。
宮城峡を入手する方法
ノンエイジ以外の宮城峡は現在終売しており、現在再販の見通しは立っていません。入手困難な状況の中で宮城峡を入手する方法を、ここではご紹介します。
AmazonなどのECサイト
「シングルモルト宮城峡(ノンエイジ)」はAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手ECサイトで購入可能です。
ところがその多くはプレ値となっており、例えば「宮城峡12年」はAmazonや楽天市場での最安値は4万5,000円程度、平均的な価格では8万8,000円ほど。発売時の定価は7,000円なので、6~12倍ぐらいの高値となっています。
ごくまれに、定価に近い価格で購入できる抽選販売なども行っていることがあるので、定期的にチェックしてみるといいでしょう。
百貨店・酒販店
大手百貨店や酒販店などでも「宮城峡」を購入できます。「お一人様一本」などの規制がある場合が多いですが、ECサイトよりも安く入手できることが多いです。また、イベントなどで抽選販売されることがあり、年数表記のあるボトルや限定品が定価に近い価格で買えるチャンスもあります。
また、昔ながらの小さな酒販店にレアな銘柄のボトルが置いてあることもあります。
オークションサイト
終売となってしまった年数表記のある宮城峡を手に入れる方法として最も有効な手段は、オークションかもしれません。
ほとんどがプレ値となっているECサイトよりも、安く手に入る可能性があります。海外ではサザビーズ、国内ではYahoo!オークションなどが有名です。実際、サイトをチェックすると宮城峡10年や限定品の宮城峡など、希少価値の高いボトルが幅広く出品されています。
一点、気をつけておきたいことは、信頼できるオークションサイトや出品者を確かめることです。過去には、空瓶に別のウイスキーを詰めて出品されていたといった問題も起きました。
ウイスキー「宮城峡」のオークション価格
銘柄によって異なりますが、宮城峡はオークションで定価の数倍、十数倍で取引されている実績があります。
海外オークションサイトの代表格・サザビーズでは、これまでに「シングルカスク2001」が約23万円、「シングルカスク1989」が約29万円と高値で落札。
国内オークションではシンワオークションにて、先ほどご紹介した「シングルモルト宮城峡リミテッドエディション2019」が約58万円で落札されました。その他、「シングルモルト宮城峡1989」や「シングルモルト宮城峡1990」も高値で取引されています。
価値あるウイスキー「宮城峡」おすすめ銘柄5選
フルーティな香りに華やかで爽やかな味わいから多くのファンを持つ「シングルモルト宮城峡」。その中でもおさえておきたい価値ある銘柄を厳選してご紹介します。
シングルモルト宮城峡
現在、一般販売されている唯一のボトルで最もスタンダードな一本が「シングルモルト宮城峡」。
「ノンエイジ」といわれる熟成年数表記のない銘柄で、ほのかにピートの効いたライトピートタイプのボトルで、その味わいはクセがなくフルーティで華やか。シャープなキレがあるので、ハイボールにしてもおいしいウイスキーです。
飲みやすさの中にも飲みごたえがあり、「余市よりも万人受けしやすいシングルモルト」という声もあります。
宮城峡12年
宮城峡蒸留所で12年以上熟成された原酒だけを使用したシングルモルトウイスキー。ISCでは、これまで3回も金賞を受賞しました。
タルトタタン(リンゴの焼き菓子)やイチゴのような濃厚かつフルーティな味わいがしっかりと感じられるボトルで、よりスコッチウイスキーのスペイサイドモルトに近い印象を受けるでしょう。
現在、原酒不足のため終売となってしまいましたが、再販を待ち望むファンも多い銘柄です。
宮城峡15年
ノンエイジや10年、12年の宮城峡よりもシェリー樽原酒が多く使われています。そのため、レーズンやアプリコットのような濃厚なフルーティさと華やかで芳醇な味わいです。円熟味を極めた一本といっても過言ではないでしょう。
宮城峡15年はISCにて7回も銀賞に輝いているボトルで、これまで金賞には届いていないものの、受賞回数は圧倒的に多い銘柄の一つです。
現在は販売されていませんが、その完成度から終売後に価値が高まっている銘柄となっています。
シングルモルト宮城峡(限定商品)
シングルモルト宮城峡は、不定期で限定ボトルをリリースしています。樽にこだわった銘柄が多く、過去には
・アップルブランデーフィニッシュ
・モスカテルフィニッシュ
・ラムフィニッシュ
などの限定銘柄が発売されました。
これらの銘柄は、通常の熟成後に別の樽で追加熟成を行う「ウッドフィニッシュ」という技法を用いています。一般リリースされた「宮城峡」とは違った味わいを求め、限定銘柄の発売を心待ちにしているファンも多いでしょう。
なお、アップルブランデーフィニッシュは同社がウイスキー産業に着手する前に行っていたリンゴジュースの事業へのオマージュで、竹鶴とリタの結婚100周年の記念ボトルとして発売されました。
シングルモルト宮城峡 リミテッドエディション2019
宮城峡蒸留所50周年を記念して、「余市」とともに限定販売された一本です。1960年代、70年代、80年代、90年代、00年代の各年代(5ディケイズ)の原酒をブレンダーが厳選しブレンド。
さらに宮城峡蒸留所で最初に蒸留された原酒が一部使われ、フルーティで華やかな香りとともに、奥行きを感じる豊かな余韻が続きます。
フロスト加工されたボトル、そして高級感が漂うボトルデザインには思わず目を奪われます。
まとめ
宮城峡はリリース当初から人気を集めていた銘柄ですが、年数表記のあるボトルは終売後さらに価値が高まった銘柄だと言えます。
その完成度の高さと希少性の高い限定ボトルは、投資価値の高い銘柄としても注目されているボトルです。オークションでは、定価の数倍・数十倍もの価格で取引されたボトルもあります。
そのまま飲んでも美味しいウイスキーですが、投資対象としても注目してみてはいかかでしょうか。