富裕層が始めているアンティークコイン投資とは|魅力やリスクを解説
100年以上前に発行されたアンティークコインには、世界中にコレクターが存在します。その影響もあって、最近では投資対象としても注目されるようになりました。
本記事ではアンティークコイン投資のメリットとデメリットに加えて、市場規模などの現状や始め方を解説します。初心者向けにアンティークコインの選び方も紹介しているので、投資に興味がある人はぜひ参考にしてください。
アンティークコイン投資とは?
アンティークコイン投資とは、古い時代に発行された貴重なコインを購入して、購入価格よりも高く売却する投資手法です。主に知的富裕層から好まれており、発行枚数や残存枚数の少ないコインほど高い価格で取引されています。
具体的にどのようなコインがあるのか、以下では「収集型」「地金型」「ハイブリッド型」に分けて例を紹介します。
比較項目 |
収集型 |
地金型 |
ハイブリッド型 |
概要 |
希少価値が高く、世界中にコレクターが存在するコイン。 |
金を含有しているコインのこと。 |
収集型とハイブリッド型の特徴を併せ持つコイン。 |
価値 |
プレミア価値に連動 |
金価格に連動 |
プレミア価値と金価格に連動 |
成長性の要素 |
希少性や需要 |
金価格 |
希少性、需要、金価格 |
入手難易度 |
コインによって異なる |
比較的容易 |
コインによって異なる |
コインの事例 |
・モルガンの円形銀貨 ・イギリス王室に関連するコイン |
・オーストリアの地金型金貨 ・カナダの地金型金貨 |
・クルーガーランド金貨 ・ナポレオンが発行した金貨 |
アンティークコインと呼ばれるのは、一般的には100年前に発行されたものですが、現在ではコインを対象にしたすべての投資を「アンティークコイン投資」と呼ぶこともあります。種類や銘柄については以下の記事でも紹介しているので、詳しく知りたい人はぜひチェックしてみてください。
アンティークコイン投資の市場規模や事例
スタンリーギボンズ社によると、アンティークコインの価値は2000年頃から伸びており、2009年にはイギリスの不動産価格指数を超えました。その後は一時的に金の価格を下回りますが、ほかの金融資産の価値が下落した時期においてもアンティークコインの価値は安定して上昇しています。
では、実際にどれくらい高騰しているのか、いくつかの事例を紹介しましょう。
コインの名称 |
高騰事例 |
1839年 イギリス ヴィクトリア女王即位記念 「ウナとライオン」 5ポンド金貨 |
2011年:400~500万円 2018年:5,000~6,000万円 |
イギリス ビクトリア オールドヘッド プルーフ10枚セット |
2007年:120万円 2017年:4,000万円 |
1914年 中国 袁世凱 開国記念 UNC |
2007年:32万円 2017年:180万円 |
なかでも「ウナとライオン」の高騰事例は有名であり、2021年8月のオークションでは5ポンド金貨が約1.5億円(114米ドル)で落札されました。これら以外にも、数ヶ月~数年で価値が数倍に伸びたアンティークコインは珍しくありません。
アンティークコイン投資のメリット
では、アンティークコイン投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、ほかの金融商品と比べてのメリットを紹介します。
少ない資金から始められる
アンティークコインにはさまざまな投資対象があり、安いものでは数百円~数千円から始められます。参考程度に、コインライブラリー・プリンシパルで公表されている購入金額割合を紹介します。
高額なコインも人気はありますが、購入者のおよそ半数(全体の48%)は100万円以下のコインを購入しています。30万円以下のコインについても幅広い価格帯の投資対象があるので、アンティークコイン投資は資金が少ない人でも始められます。
また、最近ではアンティークコインを共同保有できるサービスも登場しました。このまま市場規模が拡大すれば、手軽に投資できるサービスが拡充する可能性もあるでしょう。
経済ショックや金融危機に強い
アンティークコインは、株式などの金融商品に比べると経済ショックや金融危機に強い傾向があります。
2008年に起きたリーマン・ショック時には、日経平均株価が40%ほど下落しました。一方、同時期のアンティークコインは安定上昇を続けており、株式とは異なる値動きをしていることが分かります。
2019年末からのコロナショック以降も、貴重なアンティークコインは高値で取引されてきました。インフレにも強いという特徴があるので、ポートフォリオにアンティークコインを取り入れるだけでリスク分散効果が期待できます。
忙しい人でも続けられる
情報収集や分析の手間を省ける点も、アンティークコイン投資ならではの魅力です。
例えば、国内株や米国株に投資をする場合は、株価や経済ニュースをこまめに確認する必要があります。インフレ対策になる不動産投資についても、入居者の募集や管理といった手間がかかります。
その点、アンティークコインは相場の確認だけで始められるので、ほかの投資と比べて大きな手間はかかりません。価値が上がりそうなコインを購入すれば、あとは最適な売り時が来るまで待つだけです。
「10年後に売る」などのように決めておけば、売却のタイミングで悩むこともないでしょう。
アンティークコイン投資のデメリットやリスク
アンティークコインはインフレ対策にもなる資産ですが、注意しておきたいデメリットやリスクもあります。ここからは、初心者が特に注意すべきポイントを紹介します。
取引に手間がかかる
金などの貴金属や株式などの投資商品に比べると、アンティークコインは市場が整備されていません。購入場所や売却場所が限られるので、コインによっては取引に手間がかかってしまいます。
ただし、最近では購入と売却を一本化できる便利なサービスも登場しています。少しずつ市場が整備されているので、将来的にはリアルタイムで手軽に取引できる可能性もあります。
詐欺の被害にあう可能性がある
アンティークコインには偽物があり、投資詐欺も起こり得るため、まずは信頼できる販売元を探さなければいけません。
初心者がネットオークションやネットショップでコインを購入する際には、特に注意が必要です。写真では偽物の判別が難しいため、これらのサービスには初心者を狙った悪徳業者が関わっているというリスクがあります。
偽物コインに不安を感じている人は、専用の保険が付帯される業者など安心できる販売元を探しましょう。
情報収集や分析が難しい
アンティークコインは取り扱っている店舗やサービスが少ない影響で、情報収集や分析が難しい傾向にあります。
例えば、株式や投資信託に関する情報は、ネット証券やニュースを通して収集できます。分析ツールも充実しているため、上級者のようなトレード環境を整えることも難しくありません。
一方で、アンティークコインの情報は外国語で記載されているケースがあるので、銘柄によっては英語などの語学力も必要です。
アンティークコイン投資の始め方
アンティークコイン投資を始めるには、ネットオークションやネットショップ、個人のコイン商を利用するなど、さまざまな方法があります。しかし、これらの方法では偽物を見極める知識が必要になるので、初心者には安心できるコイン業者から購入する方法がおすすめです。
コイン業者は保証が充実しており、購入したコインが万が一偽物であれば同じ価格で引き取ってもらえます。そのほか、価格の基準が明確であったり、売却まで対応してもらえたりする点もコイン業者を利用するメリットになるでしょう。
ただし、業者によって取扱銘柄や保証内容が異なるので、利用前にサービスの詳細を確認することが大切です。
アンティークコイン投資でコインの銘柄を選ぶポイント
アンティークコイン投資を成功させるには、価値が上がりやすいコインを狙って購入する必要があります。ここからは銘柄選びのポイントをまとめたので、これから始める方はぜひ参考にしてください。
投資予算をあらかじめ決めておく
アンティークコインは必ず価値が上がるものではなく、銘柄によっては損をするリスクがあります。ほかの金融商品も同じですが、多額の借金をしてまで投資すべきではありません。
そのため、まずは明確な投資予算を決めることから始めましょう。「30万円未満」「30~50万円」といったように事前に予算を決めておけば、投資対象を分かりやすく絞ることにつながります。
希少性やグレード、需要を分析する
一般的にアンティークコインの価値は、次の3つの要素によって決まります。
○アンティークコインの価値が決まる要素
希少性:枚数が少ないコインほどプレミアがつきやすい。
グレード:コインの状態のこと。専門の鑑定会社が評価をしている。
需要:見た目が美しい、歴史的な人物が描かれているコインなどは需要が高い。
「希少性」は、特に販売価格に大きく影響するポイントです。発行枚数から予測できますが、ほとんどが溶解されていたり紛失していたりするコインもプレミアが付きやすいので、「残存枚数」にも注目して分析しましょう。
悪徳業者との取引や詐欺を徹底的に避ける
アンティークコイン投資の中で最大のリスクが、悪徳業者や詐欺の存在です。いくら珍しいコインを見つけても、これらに遭遇すると利益を出せません。
そのため、偽物や詐欺を見分けるための知識を習得したり情報を収集したりして、悪徳業者との取引や詐欺を徹底的に避ける必要があります。余裕がある方は、詐欺でよくある手口についても事前に確認しておきましょう。
高騰事例が増える可能性も! アンティークコインで資産運用しよう
アンティークコインは市場規模やサービスが拡大している背景を踏まえると、さらに魅力的な投資対象になる可能性があります。世界的に注目度が高まれば、コレクターの増加によってさらに高騰事例が増えるかもしれません。
すでに国内にもアンティーク投資の専門サービスが登場しているので、資産運用に興味がある人はこれを機に検討してみましょう。