5,000本限定販売後に注目度上昇中|新たなジャパニーズウイスキー「プロローグK」を解説

    2023.04.19

    2020年12月、ジャパニーズウイスキーの新たな歴史が始まりました。新たなウイスキーメーカー「ガイアフロー」の静岡蒸留所から、全く新しいシングルモルトウイスキー「プロローグK」が発売されたのです。

    このプロローグK、ウイスキーとしてはニューフェイスなのですが、実は海外のオークションで約1,340万円という価格で落札された伝説のウイスキー「軽井沢」と浅からぬ関係にあり、また5,000本の限定発売だったこともあってプレミアが付き、現在では希望小売価格の数倍の値段で取引されています 。

    今回はウイスキーマニア注目のシングルモルトウイスキー、プロローグKの魅力やオークション価格などについて詳しくお伝えします。
    (TOP画像引用:WHISKEY PORT)

    ウイスキー「プロローグK」とは

    プロローグKは、日本初のピュアモルトウイスキーを生み出した軽井沢蒸留所の伝統を引き継ぎ、原料となる大麦麦芽の国産比率を50%以上とするなど、「日本のウイスキー造り」にこだわっています。

    ガイアフロー静岡蒸溜所と蒸留器K

    プロローグKを生み出したガイアフロー静岡蒸留所は2016年9月にウイスキーの製造免許を取得、同年10月から生産を開始した新しい蒸留所です。

    この蒸留所の要となる蒸留器は、2011年に惜しまれつつ閉鎖されたメルシャンの軽井沢蒸留所(ウイスキー軽井沢の製造元)で使用されていた1950年代のものを移設し、修理後は「蒸留器K」と名付けてウイスキー造りをスタートさせました。

    初年度に仕込み、3年の熟成を経たモルトを使用して造られた一本が、2020年12月に発売された「プロローグK」です。

    現在は蒸留器Kのほか、蒸留器Wと2台の蒸留釜を稼働させ、プロローグKを含む「シングルモルト静岡」シリーズや「ブレンデッドウイスキー」、樽単位でウイスキーを所有できる「プライベートカスク」などを販売しています。

    プロローグKの魅力

    ガイアフロー静岡蒸留所初のシングルモルトウイスキー、プロローグK。プロローグKは国産大麦麦芽を50%以上使用するほか、英国産ピルスナー麦芽やピーテッド麦芽、カナダ産ピルスナー麦芽を使用。

    日本産の大麦麦芽ならではの繊細でデリケートな味わいに加え、ピルスナー麦芽の甘い香りやピーテッド麦芽の軽やかなピート香を楽しめます。

    また、木製発酵槽には静岡産の杉材を使うことにより、木材に含まれる乳酸菌由来の独特な個性を発揮。こうして造られた「もろみ」は蒸留器Kで蒸留され、一度だけバーボンの熟成に使われた古樽「EXバーボンバレル」で3年間熟成されます。

    そして、200を超える3年熟成の樽から厳選された31樽の原酒をブレンドし、生まれたシングル・ウォッシュスティル・ウイスキーが、プロローグKです。

    プロローグKを入手する方法

    限定5,000本で発売されたプロローグKは既に完売しており、当初の希望小売価格で入手することは難しくなっています。

    公式サイト

    以前はガイアフローが運営する通販サイト「WHISKY PORT」において抽選販売がおこなわれたこともありましたが、現在は完売となっています。

    AmazonなどのECサイト

    Amazonや楽天などのECサイトで販売されている場合もありますが、値段は希望小売価格の数倍となっています。

    百貨店・酒販店

    百貨店のカード会員や酒販店のメンバー会員などを対象に、在庫として持っていたボトルを抽選販売する可能性があります。

    狙い目はお中元・お歳暮の時期や、父の日などの贈答物が流通するシーズンです。

    オークションハウス

    海外のサザビーズ、国内のシンワオークションといったオークションハウスに出品されるケースもあります。
    ユーザーが多いYahoo!オークションに出品される場合も多いですが、出品者の取引履歴をよく確認し、信頼の置ける相手を選ぶようにしてください。

    ウイスキー「プロローグK」のオークション価格など

    プロローグKの希望小売価格は8,130円(税抜)でしたが、完売したことから、ECサイトでは5万円〜6万円前後で販売されています。

    国内のオークションではYahoo!オークションなどで2万円前後での落札実績がありますが、国外では、2022年10月のサザビーズで3,750香港ドル(=約6万8,800円)で落札されており、今後さらに価値が上がることも予想されます。

    ほかのシリーズも2,500〜5,000本程度の限定発売であることから、すでにECサイトでは希望小売価格の数倍程度で販売されており、今後オークションではさらに価格が高騰すると見込まれています。
    シリーズ名  希望小売価格(税込) ECサイトの価格(税込)
    プロローグK ¥8,943 ¥45,500
    プロローグW ¥8,943 ¥25,000
    コンタクトS ¥8,943 ¥22,800
    ユナイテッドS初版 ¥9,845 ¥19,580
    ポットスティルK ¥18,150 ¥24,999
    ※ECサイトの価格は、Amazonもしくは楽天市場を参照(参照日:2023年3月24日)

    「プロローグK」以外にも注目のボトルが?ガイアフローおすすめ銘柄4選

    プロローグW

    プロローグWは、プロローグKに続くガイアフロー静岡蒸留所のシングルモルトウイスキー第2弾。プロローグWの「W」は世界的にも珍しい薪を燃料とした直火の蒸留器、「蒸留器W」に由来します。

    原材料となる麦芽には、国産大麦麦芽を主体にスコットランド産のピーテッド麦芽、さらにはビール用麦芽も使用。

    そのため、複雑性のあるアロマやスモーキーな香りに加え、しっかりとしたテクスチャと長く穏やかな余韻を楽しめます。

    コンタクトS

    コンタクトSは、ガイアフロー静岡蒸留所のシングルモルトウイスキー第3弾。蒸留器Kと蒸留器Wの蒸留器を使った原酒をブレンドしたシングルモルトです。

    蒸気加熱方式である蒸留器Kの原酒は、フルーティーでライトな味わい。一方の薪直火式の蒸留器Wの原酒は、長い余韻のヘビーな味わい。異なる性格を持つ2つの原酒がバランス良く整っていることから「コンタクト(接触)」と名付けられました。

    また通常のEXバーボンバレルのほか、熟成が早いクォーターカスクと呼ばれる小樽を用いた原酒を用いているのもポイントです。

    静岡 ユナイテッドS 初版

    コンタクトSの後継シリーズとなる「ユナイテッドS」のファーストエディションです。

    商品名のSは「コンタクトSの後継シリーズ」ということのほか、「静岡」「スピリッツ」「シングルモルト」そして「スフィア(天球)」などの頭文字から採用されました。

    蒸気加熱方式である蒸留器Kと薪直火式の蒸留器Wの2つの原酒を用いていることはコンタクトSと同じですが、その調和が更に進化したことから「ユナイテッド(一致・和合)」と名付けられました。

    EXバーボンバレルに加えワイン樽などを使用していることから、その味わいは華やかでエレガントな印象です。

    ポットスティルK 純日本大麦 初版

    ガイアフロー静岡蒸留所のデビュー作となるプロローグKの後継シリーズとなるボトルが、ポットスティルKです。

    蒸留器Kの原酒のみを使用しているのはプロローグKと同様ですが、最大の特徴は日本産の大麦麦芽だけを原材料としていること。

    複雑で繊細な味わいとなる国産大麦麦芽をフルーティーでライトに仕上がる蒸気加熱方式である蒸留器Kで蒸留したため、その味わいはまさにエレガント。

    このファーストエディションは2,500本限定のため、将来的に価格が高騰することが期待されます。

    まとめ

    「プロローグK」を始めとするガイアフロー静岡蒸留所のシングルモルトウイスキーは、国産大麦麦芽を積極的に使用するなど、ジャパニーズウイスキーらしさを強く打ち出しています。

    そのため世界的なジャパニーズウイスキーブームに上手く乗り、またガイアフロー静岡蒸留所がまだ小規模で生産本数の少ないことから、今後価値が上がっていくと期待できます。

    抽選販売などで手に入れられるチャンスがあれば、実際に飲んで楽しむのはもちろんのこと、投資の対象として購入を検討することも良いかもしれません。
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