2022年富裕層が注目した「コレクション投資」アイテムは?車、時計を抑え1位は“アート”

    2023.04.21

    世界的に経済はコロナ禍からの回復が進んでいます。そのなかでアート、ワイン、レアウイスキーなどを投資対象とするラグジュアリー投資(当メディアでは以降「コレクション投資」と記載)は、コロナ禍明けによる投資家の復帰もあり、全体としては株式などを上回るパフォーマンスとなりました。

    英不動産コンサルティング企業ナイト・フランクの「ラグジュアリー投資指数/KFLII」をもとに、2022年のコレクション投資の動向を振り返ります。
    (TOP画像引用:Knight Frank)

    2022年は世界的なインフレがコレクション投資の追い風に

    引用:Knight Frank(編集部にて日本語訳)

    英不動産コンサルティング企業ナイト・フランクは、毎年コレクション投資市場の動向を調査し、「Luxury Investment Index(ラグジュアリー投資指数/KFLII)』として発表しています。

    上記のグラフにあるとおり、2022年のコレクション投資における資産の上昇率(前年比)ベスト3は下記となりました。

    1位 アート(前年比29%上昇)
    2位 クラシックカー(同25%)
    3位 腕時計(同18%)


    2022年の世界経済において、インフレは話題の中心となりました。モノの価格が上昇するインフレを背景に、コレクション投資のパフォーマンスも全体的に堅調です。

    同社の調査対象であるアート、クラシックカー、腕時計、ワイン、ウイスキーなど10種類の価格を指数化した「ラグジュアリー投資指数」も、前年比16%と上昇しています。

    この数字は、金や多くの国の株式よりも高い伸びを示しています。

    アート分野では高額売買の成立に加え投資家の復帰も

    次に分野別で見てみましょう。

    1位のアート(前年比29%上昇)は、超富裕層クラスが美術館レベルの作品に莫大な金額を投じました。昨年の取引最高額はUS195M$(約253億円)のアンディ・ウォーホルの作品です。

    その結果、アート分野全体の上昇率を押し上げています。
    2位のクラシックカー(同25%上昇)は、過去9年でもっとも高い伸びをみせました。コロナ禍が明けて、コレクターが市場に復帰しています。

    その結果、US143M$(約185億円)という史上最高額での売買も成立しました。

    3位は腕時計(同18%上昇)です。3大オークションハウスでの売上が前年比33%上昇(総額4.75億ポンド、約774億円)しており、こちらもコロナ禍が明けて投資家が復帰しています。

    パテックフィリップのノーチラス、オーデマピゲのロイヤルオーク、ロレックスのデイトナが取引を牽引し、また100万ポンド(約1.6億円)以上の時計が40本も取引されました。

    ワイン、ウイスキーは価格上昇が落ち着く

    次にベスト3には入らなかったものの、人気のある投資対象であるワインとレアウイスキーの状況についてみてみましょう。

    ワインは上昇率10%となり2021年の16%を下回りました。ブルゴーニュ産ワインが過去5年ですでに80%以上の価格上昇をはたしており、全体価格も一段落したと見られています。
    レアウイスキーは3%の上昇率に留まり、コレクション投資のカテゴリー内ではもっとも低い上昇率となりました。これまでに価格を引き上げた投機的取引による価格上昇は、いったん落ち着いていると考えられます。ただし後述のように、10年の上昇率では第1位(373%上昇)となっています。
    2022年のコレクション投資市場全体としては、インフレやコロナ禍明けによる投資家の復帰で価格上昇がみられた一年、といえるのではないでしょうか。

    過去10年の価格上昇率は「レアウイスキー」がトップ

    次に10年での価格の上昇率ベスト5を見てみましょう。

    1位 レアウイスキー(373%上昇)
    2位 クラシックカー(185%上昇)
    3位 ワイン(162%上昇)
    4位 腕時計(147%上昇)
    5位 アート(91%)


    レアウイスキーの10年の上昇率は373%であり、ほかを圧倒する数値です。ただ昨年の上昇率は3%に留まり、価格上昇は落ち着きをみせています。
    一方で2位以下のクラシックカー、ワイン、腕時計は昨年も10%以上の上昇をみせており、価格上昇が継続中です。ただし、ワインはピークアウトしつつあります。

    また、アートは前述のとおり前年比では上昇率トップでしたが、過去10年のラグジュアリー投資指数(137%上昇)との比較では91%の上昇に留まり、上昇率が劣後する状態です。これまでの出遅れを背景に投資家の注目を集め始めている、と考えることもできます。

    昨年はインフレに背中を押され、コレクション投資の対象資産はいずれも価格上昇を果たしました。しかし10年の上昇率は、各資産で大きな差が生じています。

    10年スパンの長期視点では、コレクション投資といえども利益を意識するなら柔軟な投資スタンスが必要、といえるでしょう。

    まとめ

    2022年のコレクション投資ではアートやクラシックカーといった、高額投資家の売買動向に強い影響を受けた資産の上昇率が1位と2位になりました。

    2023年も同様の傾向が続くのか、2023年のコレクション投資の動向が注目されます。
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