KAWS|代表的な作品やコラボ作品について解説

    2023.01.26

    アートとアニメーション、ポップカルチャーを自在に行き来し、コンセプチュアルなのにポップで、大人から子どもまで親しめる作品を生み出し続ける、現代アーティスト・KAWS(カウズ)。この記事では、実は日本とのつながりも深いKAWSのこれまでの活動、そして作品の魅力をご紹介します。

    KAWSのこれまでの活動

    KAWS(カウズ)ことブライアン・ドネリーは1974年生まれ。アメリカ・ニュージャージー出身で、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動しています。

    KAWSの作品というと、まず、いわゆるフィギュアのような立体造形をイメージする人も多いでしょう。手のひらに載るくらいの小さなものから、高さ10m以上のものまでサイズもさまざま。加えて、目元を「x」のマークで表しているのも特徴の1つです。これまでに、ディズニーやスヌーピー、シンプソンズなどの有名キャラクターを模した作品も数多く手掛けているほか、ファッションブランドともコラボアイテムも多数発表してきました。

    引用元: Sotheby's

    実は日本との関わりがとても強く、1997年に初来日して以降、東京のサブカルチャーにふれ、制作スタイルや作風に影響を受けているといいます。これまでに50回近く来日し、ストリートアートのプロジェクトに参加するほか、2019年に富士山の麓でアートイベント「KAWS:HOLIDAY JAPAN」が、2021年には国内初の大規模展「KAWS TOKYO FIRST」が東京・六本木で開催され、いずれも大きな話題となりました。

    グラフィティ・アーティストとしての活動

    KAWSの存在が広く知られるようになったきっかけは、1990年代から本格的に行うようになったグラフィティ・アーティストとしての活動でした。1994年からニューヨーク・マンハッタンにある、グラフィック、写真、映像など最新のメディアアートに特化した芸術大学「School of Visual Arts」に所属し、卒業後、昼間はアニメーターとして仕事をしながら、夜はグラフィティ・アーティストとして、街中の壁や貨物列車にスプレーやマーカーで「KAWS」と書き残していたそうです。KAWS作品のトレードマークである、丸みを帯びた二本の骨が後頭部で交差したスカルが生まれたのもこの頃でした。

    SNSでの活動

    KAWSは世界中にファンがいて、公式Instagramのフォロワーは420万人以上(2022年9月現在)。フォロワー数は現在も増え続けています。ポップなデザインと作風は、SNSと非常に相性が良く、「#KAWS」の投稿はInstagramだけで180万件以上と膨大。アメリカ・フロリダ州で毎年12月に開催される「Art Basel in Miami Beach 2019(アート・マイアミ2019)」では、期間中、会場内で撮影され最も多くInstagramにアップされた作品がKAWSだったそう。人気の高さがうかがえるエピソードの1つです。

    現代美術での成功

    KAWSは2008年からフランスの現代美術ギャラリー「ペロタン」に所属し、ポップカルチャーの界隈だけではなく、ファインアートの世界でも作品の評価が進んでいきました。特に2010年代後半からは、小さな立体のフィギュア作品でも5万円以上、高いものでは10万円以上で取引されはじめます。なんと1億円を超える金額で取引される作品もあるほどです。

    さらにKAWSは、2020年にARアプリ「KAWS EXPANDED HOLIDAY」をリリースするなど、新たなテクノロジーやプロジェクトにも積極的に取り組み続けています。

    KAWSのアニメ作品

    アニメーターとしてのキャリアを持ち、さまざまなポップカルチャーやアニメーション作品から創作のヒントを得てきたKAWS。ここでは著名なキャラクターを模した作品の数々をご紹介します。世界中で誰もが知るようなキャラクターたちを模すことで、言語や文化を超え、自らの存在が広く知られることを狙っていたのかもしれません。

    ディズニー

    KAWSがデザインしたオリジナルキャラクター"COMPANION(コンパニオン)"。実はこちら、ミッキーマウスをアイデアのモチーフに作られているのをご存知でしょうか。その他にも、これまでに発表されたKAWSの作品にはディズニーのキャラクターを模した作品が数多く発表されています。

    スヌーピー

    アメリカの漫画家、チャールズ・モンロー・シュルツ氏が1950年から新聞で連載し始めた『ピーナッツ』。そのキャラクターとして世界中で愛されているスヌーピーも、KAWSの作品になっています。2011年に制作されたフィギュアが高値で取引されているほか、2016年から始まった「UNIQLO」とのコラボ「KAWS×PEANUTS」シリーズも大きな話題となりました。

    セサミストリート

    1969年にアメリカでのテレビ放映がスタートして以来、世界150以上の国と地域で放送・展開されている『セサミストリート』。日本でも人気の高いキャラクターたち、エルモやクッキーモンスター、ビッグバード、アーニーとバードなどが、KAWSのリクエストで「UNIQLO」とトリプルコラボし、「UT KAWS × SESAME STREET」として登場。Tシャツのほか、ぬいぐるみなどが世界中で展開されました。

    KAWSの代表的な作品

    ここからは、20年以上にわたるKAWSの活動の中で、特に代表的な作品をご紹介していきます。

    Companion-Bus Stop

    引用元: ha.com

    「Companion-Bus Stop」は、KAWSがグラフィティ・アートを中心に活動していた2001年の作品。

    当時、ニューヨークやブルックリンの街中にあるバス停や電話ボックスなど、公共空間に掲出された広告ビジュアルに、自らのキャラクター"COMPANION"を無許可で登場させていました。アメリカだけではなく、パリやロンドン、ベルリン、そして東京と、世界中で展開され、知名度が上がるにつれ、すぐ盗まれるようになったほど。その作品のコンセプトは、広告だらけで商業化された空間を覆すことだったそうです。ハイブランドの広告に上書きし、その意味を変化させてしまう「サブバータイジング(Subvertising)」は、KAWSの活動初期の代表的な独自技法です。同作は、2019年7月、アメリカ・シカゴで開催されたHeritage Auctionsでは37万5,000ドルで落札され、非常に話題となりました。

    THE KAWS ALBUM

    引用元: Sotheby`s

    「THE KAWS ALBUM」は、縦×横が101.6 cm四方のキャンバスにアクリル絵具で描かれていて、アニメ作品『シンプソンズ』と、ザ・ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』から着想したパロディ作品です。2005年に発表され、デザイナー・音楽プロデューサー・起業家のNIGO®氏が所有していました。KAWSとNIGO®氏は、2000年代から数多くのコラボレーションを行ってきた、盟友とも言える間柄です。

    2019年4月、世界的に有名なオークションハウス・サザビーズ香港で開催された、NIGO®氏の個人コレクションオークション「NIGOLDENEYE® Vol. 1」でこの作品が出品され、1,478万4,505ドル(約16億4,700万円)で落札されました。これは予想価格の約15倍。KAWSのオークション過去最高額を記録しました。

    In the Woods

    引用元: CHRISTIE`S

    「In the Woods」は、ディズニーの長編アニメ映画『白雪姫』のワンシーンをモチーフに、登場する人物や動物たちの顔がKAWSのオリジナルキャラクター"Companion"に置き換わっている絵画。キャンバスにアクリル絵具で描かれて、サイズは縦147.6cm ×横275.3cmです。

    2016年、ニューヨークのサザビーズで、43万ドル(約4,730万円)で落札されましたが、その3年後の2019年5月、やはり世界的に有名なオークションハウス・クリスティーズのオークションで再び出品され、なんと9倍近い高値となる、385万5,000ドル(約4億2,405万円)で落札されました。

    KAWSのコラボ作品

    ポップカルチャーや日本のサブカルチャーに影響を受け、自身のクリエイティビティに反映させていったKAWS。ここからは、これまでに発表されてきたさまざまなコラボレーションアイテムについてご紹介します。

    メディコム・トイ

    世界中でコアな人気を集める日本のトイメーカーが、メディコム・トイです。2002年、KAWSはメディコム・トイとの初めてのコラボレーションプロジェクトとして、「BE@RBRICK(ベアブリック)」を発表。その後も長きにわたり多数のコラボレーション作品を発表してきました。例えば、ミッキーマウスやセサミストリートなどの人気キャラクターを模したフィギュアが数万円台で、キーホルダーなどが数百円程度で販売されています。

    また、KAWSとメディコム・トイは2006年、共同でオリジナルのファッションブランド「Original Fake(オリジナルフェイク)」を立ち上げ、Tシャツなどのアイテムを展開。東京・南青山に初の旗艦店をオープンさせました。残念ながらブランドは2013年で終了してしまったため、「Original Fake(オリジナルフェイク)」のアイテムはとても希少で、現在でも高値で取引されています。

    ナイキ

    2017年3月に世界で発売された「KAWS × Nike Air Jordan 4 (ナイキ・エアジョーダン・フォー)」は、ナイキの人気モデル・エアジョーダンとKAWSが初めてコラボレーションしたアイテムです。コーチジャケットやパーカー、Tシャツ、キャップなども同時に発売されました。すでに5年が経つ現在でも、スニーカーファン、そしてKAWSファンからの人気が高く、高値で取引されています。

    2021年には、日本人デザイナー・阿部千登勢氏が手がけるファッションブランド「sacai(サカイ)」が加わったトリプルネームで、「Blazer Low “Team Red” & “Neptune Blue”」が発表され、再び大きな注目を集めました。

    ユニクロ

    いまや全世界で知られる存在となった、日本発のアパレルブランド「UNIQLO」。そのグラフィックTシャツブランド「UT」と、KAWSとのコラボレーションアイテムが初めて発表されたのは、2016年4月のことでした。盟友・NIGO®氏が「UT」のクリエイティブディレクターを務める縁から実現したのです。その後、2021年7月まで、7回にわたってさまざまなデザインのTシャツやぬいぐるみなどのアイテムが登場し、現在でも高い人気を集めています。2021年の展覧会「KAWS TOKYO FIRST」の開催を記念したコラボレーションでは、Tシャツとトートバッグがユニクロならではのリーズナブルな価格帯で展開され、瞬く間に完売してしまいました。

    Supreme

    引用元: Supreme「KAWS Chalk Logo Hooded Sweatshirt」

    1990年代にニューヨークでスタートし、今では世界中のセレブリティに愛され、ストリートブランドの代名詞的な存在となった「Supreme(シュプリーム)」。KAWSは2011年に初めてのコラボレーションアイテムとして、Tシャツとパーカー、スケートボードデッキを発表しています。特にスケートボードデッキは販売数が非常に少なかったため、現在では200万円を超える金額で取引されることも。その後、2019年、2021年と、コラボレーションアイテムが発表されていますが、毎回、大きな話題を集め入手困難になっています。

    "先行投資"としてKAWSのアイテムを購入する楽しみ

    世界中に熱烈なコレクターがいるKAWSのアイテム。それを購入・所有する魅力や楽しみ方は多彩ですが、特に現代作家の場合、その人気や注目度が市場価格の上昇として評価されるのは、オーナーならではの喜び、と言えるでしょう。

    アートへの投資的な価値は高まりつつある

    現在、世界では情勢不安などを背景に、相対的にアートへの投資的価値が高まりつつある、と言えるでしょう。その中で、ポップカルチャーやストリートカルチャーなどの大衆的な背景を持ちながら、ファインアートしての魅力や価値をも有する、独自のポジションを築きつつあるKAWS。人気、希少性に加え、作品としての評価アップが大いに見込まれるため、コレクションするメリットも大きいと言えます。

    人気のアート・トイは高値で取引される

    KAWSがメディコム・トイと展開しているフィギュアのシリーズは、「アート・トイ」と呼ばれまるジャンルです。さまざまなアート・トイが存在しますが、同じ作品が複数点存在する、「マルチプル」のアイテムにもかかわらず、ここまで世界中に熱烈なコレクターを生み出し、著名なアートオークションで高値の取引がされるまでのハイレベルな存在になったのは、KAWSだけと言っても過言ではないでしょう。

    例えば2018年10月、国内におけるセカンダリーマーケットで有名なオークションハウス・SBIアートオークションでは、「Companion Pushead Version」の緑、銅、銀の3点組が、落札予想価格12万~18万円に対し、115万円で落札されました。海外でも、100体限定で販売された「Companion (Black)」 が、香港で開催されたオークションで約2,100万円(1,416,000HKD)という高額で落札されたことも。一貫した世界観のもとで、20年以上にわたって作品を発表し続けている彼だからこそ、とも言えるのです。

    まとめ

    グラフィティ・アートからはじまり、セレブリティやミュージシャンなどの著名人に多くの熱烈なコレクターがいる一方で、「ユニクロ」のようなマスブランドとのコラボレーションも長く続けてきたKAWS。アートをぐっと身近な存在にし、アート・トイの価値を高め続ける彼のアイテム、ぜひ手の届く範囲からで購入・所有して楽しんでみましょう。
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