アンディ・ウォーホル(Andy Warhol,)|経歴や作品を解説

    2023.01.26

    20世紀、ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホル。戦後のアーティストで最も有名な人物の一人です。彼の名前や作品は知っていても、一体何がすごいのかを把握している方は少ないのではないでしょうか。この記事ではアンディ・ウォーホルの生涯や作品について紹介します。

    アンディ・ウォーホルの経歴

    まずはアンディ・ウォーホルの経歴を紹介します。

    ポップアートの先駆け

    アンディ・ウォーホルは1928年にアメリカ・ペンシルベニア州で生まれました。体の弱い子どもで、顔や手足に痙攣が起こる精神疾患「シデナム舞踏病」を患っていました。また体の色素が薄く、日光アレルギーでもありました。学校に通学することもままならなくなり、家に引きこもりようになってしまいます。この時期に自宅で絵を描くようになっていったそうです。

    1945年、アンディ・ウォーホルは美術教師を目指すために大学に入学しますが、最初の大学を退学。
    カーネギー工科大学に入学し、グラフィック(商業デザイン)の道を志します。卒業後は商業イラストレーターとして活躍し、1952年には新聞広告美術の分野で「アート・ディレクターズ・クラブ賞」を受賞します。

    ここからアンディ・ウォーホルのもとには注文主からの依頼が殺到。この時期にアーティストとして内面を意識するのではなく、ただビジネスライクなデザインとして表層に徹する道を選びました。

    1961年に彼は身近だったキャンベルのスープ缶やドル紙幣をモチーフに作品を描きました。1962年7月9日には32点のキャンベルスープ缶を描いたキャンバスを展示した初の個展を開催。これがポップアートのはじまりです。

    当時の現代アートはまだ人や風景といった主題で内面を描くものが多かったなか、アンディ・ウォーホルは身近な工業製品を機械的に描きました。これは大量生産大量消費社会に切り替わるまっただ中だったアメリカの消費社会を象徴したものであり、当時はセンセーショナルなものだったのです。この社会を受けて、アンディ・ウォーホルは印刷技術を使って、大量生産された作品を発表し続けました。
    また1962年8月に、アメリカの人気女優マリリン・モンローが死去したのを受けて、モンローのバストアップの肖像を色違いにして大量生産し続けました。

    また1962年8月に、アメリカの人気女優マリリン・モンローが死去したのを受けて、1964年に5枚のモンローのポートレートを制作しました。これらは通称「Shot Marilyns」といわれます。

    そのうちの一つ「Shot Sage Blue Marilyn」は、2022年5月にクリスティーズ・ニューヨークのオークションで1億9,504万ドル(約253億円)で落札されました。この落札額は20世紀の作品では史上最高額です。

    ちなみにアンディ・ウォーホルの作品は、国内オークションの最高額も保持しています。2022年3月の保税オークションにて「Silver Liz(Ferus Type)」が23億円で落札されました。

    スタジオでの制作活動

    1964年、36歳になったウォーホルはニューヨークに「The Factory(工場)」という名前のスタジオを構えます。室内外はアルミや銀の絵の具で塗られており、アトリエではなく大量生産のための工場を意識していることが伺えます。ウォーホルはここで「ワーカー(労働者)」といわれるアシスタントを雇い、シルクスクリーンの絵だけでなく、靴や映画などを制作しました。60本を超える映画を製作していた時期です。
    翌1965年にはバンド「The Velvet Underground」のデビューアルバムをプロデュースします。このシルクスクリーンで「バナナ」を描いたレコードジャケットは今でも有名です。

    心身の苦難を乗り越える

    まさにビジネスパーソンとしても手腕を発揮しながら、全世界で知名度を高めていたウォーホルですが、1968年、40歳のときにThe Factoryによく出入りしていた女性から銃撃されてしまいます。

    このあとウォーホルは復帰し、1972年にはニクソン大統領の訪中に合わせて毛沢東のポートレートを作成。その後、災害や神話といったモチーフで作品を制作します。タレント業も平行しておこなっており、1983年~84年にかけて日本のTDKビデオカセットテープのCMに出演していたのを覚えている方もいることでしょう。

    1986年には遺作となるレーニンのポートレートを発表。1987年2月21日に心臓発作で死去しました。

    アンディ・ウォーホルの作品

    アンディ・ウォーホルの作品で最も有名なのがシルクスクリーン(印刷技術の一つ)で生産された絵画作品です。モノでいうと「キャンベルのスープ缶」や「シャネル」「コカ・コーラ」をモチーフにしました。また人物像でいうとマリリン・モンローが有名です。そのほかに日本人でいうと、坂本龍一の肖像も描いています。
    これらの作品はまさに大量生産・大量消費の社会を映し出したものです。モノだけでなく人物も消費財の一つであるといえます。ただしウォーホルの作品の特徴はこれらの作品を通して社会に警鐘を鳴らすわけでも、称賛するわけでもない。ただ淡々と社会を表すモチーフを工業的にプリントして販売していました。

    アンディ・ウォーホルの映画作品

    アンディ・ウォーホルは映画監督としても手腕を発揮しました。60以上の映画を撮っています。「The Factory」は作品制作の場としてだけでなく、社交場としても機能しており、ウォーホルはここで出演者を募っていました。

    彼の映画は、シルクスクリーンとは打ってかわってかなり実験的です。たとえば初期作品の「Sleep(眠り)」ではただ眠っている男を6時間も映し続けます。場面展開はほとんどありません。はじめて商業的に成功した「チェルシー・ガールズ」では分割された2画面で、ただある女性の一日を流します。

    これらの映画を通してウォーホルはメッセージ性を極限までなくしています。ウォーホルは映画を通して「暇を楽しんでほしい」といった言葉を遺しています。いま我々が興味もないラジオやYouTube動画をただ聞き流しているような感覚に近いかもしれません。

    アンディ・ウォーホルの展示会情報

    2022年9月17日~2023年2月12日まで京都市京セラ美術館にて「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」が開催中です。日本初公開作品100点以上を含む約200点が来日しています。

    アンディ・ウォーホルの作品は、彼が活躍した1900年代後半より消費社会が進んだ現在のほうが響くと思います。再三書いている通り、彼に明確なメッセージはありませんが、彼の作品には機械的で感性を失ったモノや人の姿があります。そんな作品を通して、勝手にメッセージを受信するおもしろさがあるのです。

    アンディ・ウォーホルのグッズ情報

    アンディ・ウォーホルのグッズ情報を紹介します。グッズこそ、商業デザイナーである彼の真骨頂でしょう。MoMA Design Store ではたくさんの商品が販売されています。

    アート伝記本「僕はウォーホル」

    「アンディ・ウォーホルをもっと知りたい」という方は伝記本「僕はウォーホル」を読んでみるのはいかがでしょうか。彼の作品や生涯について詳しく記載されています。サイズは17.3cm×22.8cmで、MoMAデザインストアで、1,760円(税込)で販売されています。

    ボードブック「ウォーホル:アンディランド」

    アンディ・ウォーホルの明言を、まつわる作品と一緒に読めるボードブック「ウォーホル:アンディランド」もMoMAデザインストアで購入できます。メッセージの小窓がついており、子ども用の絵本のような感覚で楽しめます。

    マスク

    コロナを受けて、マスクもMoMAデザインストアで発売されています。なお、飛沫防止を目的としており、感染(侵入)を完全に防ぐものではないので注意が必要です。また購入後最初に使う際には洗濯することが、注意点として明記されています。

    ポスター

    アンディ・ウォーホルの真骨頂ともいえるポスターも購入できます。MoMAデザインストアでは『Brillo Box』のポスターが販売されており、インテリアとして人気です。埃や紫外線から守るラミネート加工が施されています。

    パズルカード

    MoMAデザインストアでは代表作の一つであるマリリン・モンローの肖像のパズルカードが販売されています。裏面にはメッセージを添えられるようになっており、贈り物にうってつけです。

    Tシャツ

    UNIQLOではアンディ・ウォーホルとコラボレーションした作品を数年前から販売しています。過去にはキャンベルのスープ缶やマリリン・モンローの肖像が商品化されたほか、現在は彼が描いた京都の風景をTシャツにしています。

    まとめ

    ポップアートの旗手・アンディ・ウォーホルの作品を紹介しました。ポップアートが登場する前、アートは「人や風景を描いたもの」という常識が浸透していました。

    そんなスタンダードをスープ缶や有名人の肖像で塗り替えたのが、アンディ・ウォーホルの功績です。これにより、人々は社会の構図に気付いた。また商業とアートの境界を考えるきっかけにもなりました。

    そんななかで、彼自身は「作品にメッセージはない」「なぜ他人の真似をしてはいけないのか」と、それまでのアーティスト像を覆す言葉を遺しています。そんな飄々としたスタンスを含めて、ぜひ彼の作品を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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