長期的な投資に強い実物資産投資のポイント|メリット・デメリットも解説

    2023.05.26

    「投資」と聞くと、株式や投資信託といった金融商品をイメージする人が多いかもしれません。その一方で、美術品・ウイスキー・トレーディングカードなどの「実物資産投資」も注目を集めています。

    この記事では、実物資産投資のポイントやメリット・デメリットについて解説します。実物資産の種類についても広く紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

    実物資産とは?

    「実物資産」は、物理的な形で存在する資産です。実物資産投資では不動産・貴金属をはじめ、美術品・ウイスキー・トレーディングカードを対象にした「コレクション投資」に注目が集まっています。

    ここでは、インフレリスクを回避できる実物資産投資のメリットをはじめ、デメリットも含めて実物資産投資への理解を深めていきましょう。
    実物資産投資のメリット 実物資産投資のデメリット
    ・インフレリスクを回避できる
    ・安定したキャッシュフローがある
    ・分散投資(ダイバーシフィケーション)の効果
    ・損傷や盗難のおそれがある
    ・維持し続けるためのコストがある
    ・現金化に時間がかかる場合も

    実物資産投資のメリット

    インフレリスクを回避できる

    実物資産は、通貨に比べてインフレリスクを回避しやすい点が強みです。その理由は、インフレが起こると通貨の価値が下がる一方で、実物資産の価値が上昇するためです。

    通貨の発行枚数は政府の裁量により変化しますが、絵や彫刻などの実物資産の数はインフレ下においても特段左右されず、そのため実物資産は価値が下がりにくい特性があります。

    詳しくは「ラグジュアリー投資指数/KFLII」のレポート解説した下記の記事をご参考ください。

    安定したキャッシュフローがある

    実物資産には、安定したキャッシュフローをもたらす資産もあります。例えば、貸し倉庫や貸しビルのような不動産投資が代表的です。貸し倉庫や貸しビルは毎月賃料として、借主からお金が入金されるため安定したキャッシュフローが期待できます。
    ※絵画や彫刻品などの美術品の場合、そのようなキャッシュフローは発生しにくい

    また、実物資産は資産自体に一定の価値があるため、経済が下降する局面でも価値が急落しにくく、キャッシュフローが減りにくいメリットもあります。

    分散投資(ダイバーシフィケーション)の効果

    実物資産は、株式や債券といった伝統的な金融資産とは異なる値動きをします。例えば、株式市場が低迷している場合でも、実物資産の価値は上昇する可能性があり、ポートフォリオ全体として資産額の増減が小さくなるなどです。

    そのため、ポートフォリオの一部に実物資産を加えた分散投資を行うことで、ポートフォリオ全体のリスクを低減する効果があります。

    実物資産投資のデメリット

    損傷や盗難のおそれがある

    実物資産は物理的な資産であるため、損傷や盗難のリスクがあります。特に高い価値を持つ実物資産は盗難の標的になりやすく、大きな劣化・損傷が生じた場合には価値が大きく下がることに留意しなければなりません。

    そのため、実物資産を損傷や盗難のリスクから守るために、セキュリティが確保された最適な環境で資産を保管できる倉庫などの活用が必要になります。

    維持し続けるためのコストがかかる

    実物資産を保有し続けるためには、維持コストがかかります。例えば、美術品の場合には状態を保つための定期的なメンテナンスや盗難や天災に備えた保険料が必要な場合もあります。また、不動産投資の場合には、固定資産税や修繕費などの維持コストが発生します。

    実物資産投資を検討する際には、長期的なコストを考慮したうえで投資の収益性を見極めましょう。

    好きなタイミングで現金化できない

    実物資産は、金融市場のように瞬時に売買できず、買い手が見つからなければ現金化できません。

    例えば、美術品やトレーディングカードのようなコレクションアイテムは、金融市場と比べて市場規模が小さく、売却までに時間を要する場合があります。また、不動産投資の場合でも物件の売却に手続きや時間を要するため、すぐには売買が成立しません。

    実物資産の現金化には、ある程度の時間がかかることに留意する必要があります。

    実物資産の種類と特徴

    不動産、美術品、ウイスキーなどの実物資産のうち、今回はウイスキー・トレーディングカード・美術品など「コレクション投資」の対象となる実物資産を中心にご紹介します。

    ウイスキー

    引用元: CNN.co.jp

    実物資産として、ウイスキーは幅広い層から人気を集めています。ひと昔前までは嗜好品として楽しまれていましたが、ここ数年は1本あたり数百万円で取引されるウイスキーもあるなど、投資対象としても注目を集めています。

    中には、定価の数倍から数十倍に伸びるボトルもあり、2018年にはイギリスで開催されたクリスティーズオークションで「ザ・マッカラン(60年)」が84万8750ポンド(当時のレートで約1億2500万円)で落札されたことが話題になりました。

    ウイスキー市場の動向やウイスキー投資の始め方について、以下の記事で紹介しています。ウイスキーを投資対象として考えている人はぜひチェックしてください。

    トレーディングカード

    引用元: HOBBY Watch

    「ポケモンカード」や「遊戯王カード」などのトレーディングカードも、実物資産投資の代表例です。

    発売されてから10年以上たった今でも根強い人気を集めている遊戯王カードは、2022年末時点で1枚4,500万円の値がついたカードもあるほど。ポケモンカードにおいては、2022年にアメリカの格闘家のローガン・ポール氏が約7億円でカードを購入し、ギネスブックに掲載されたことで話題になりました。

    【国内の主要なトレーディングカードゲーム】
    ・遊戯王OCG デュエルモンスターズ
    ・ポケモンカードゲーム
    ・ONE PIECEカードゲーム
    ・マジック:ザ・ギャザリング
    ・デュエル・マスターズ

    トレカ投資は必要資金が比較的少なく、初心者でも始めやすいことが特徴ですが、トレンドを理解しておくなど一定の知識も必要です。

    以下の記事ではトレカ投資の詳細を解説しています。ご興味をお持ちの人はあわせてご覧ください。

    美術品

    引用元: JIJI.COM

    美術品も実物資産投資の代表です。歴史的な作品はもちろん、現代アートも高く評価され、オークションなどで頻繁に取り引きされています。

    最近では、実業家の前澤氏が2016年に約5730万ドル(当時のレートで約62億円)で購入したバスキアの絵画が、2022年5月に約8500万ドル(約109億円)の高値で落札されたことが話題となりました。

    美術品投資は値上がりによるメリットはもちろん、自宅に飾り楽しめる点も魅力と言えるでしょう。条件を満たせば減価償却が可能で、節税に役立つメリットもあります。
    投資対象 絵画、骨董品、彫刻
    メリット ・自宅に飾って楽しめる
    ・価格が急落しにくい
    ・条件を満たした場合、節税対策になる
    デメリット ・保管が難しい
    ・真贋を見分けることが難しい
    ・短期的な投資には向かない
    利益の目安 10年間で2~3倍
    ※アート作品によっては価格が大きく上昇することもあり、現代アートでは一般的に売買手数料を含めても、約10年で2~3倍のリターンを得られる可能性もあります。
    アート投資に興味をお持ちの人は、詳しく解説した下記の記事もぜひチェックしてください。

    貴金属

    金や銀などの貴金属も、実物資産投資でよく扱われています。貴金属投資の強みは、経済が不安定で金融資産の価値が軒並み下落しているときでも、取引量や採掘量が限られているために価値が維持され価格が下がりにくいことです。

    また、貴金属は金融商品としても取引されているため、ほかの実物資産と比べて市場の流動性が高く、売買しやすい点も魅力です。

    その他

    ここまでで紹介した実物資産のほか、アンティークコイン・腕時計・スニーカー・ジーンズなど、実物資産投資の対象は豊富です。

    特にアンティークコインは、メディアで実物資産投資が特集される際には必ずと言ってよいほど取り上げられる注目度の高い投資対象です。例えば、Amazonで「実物資産」と検索すれば、アンティークコイン関連の情報が上位表示されます。

    アンティークコイン投資のポイントは、下記の記事でご紹介しています。興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

    まとめ

    今回の記事では、実物資産投資のポイントを解説しました。景気変動に左右されにくい実物資産はインフレ時にも有効な投資対象となります。維持コストなども踏まえた上で、長期的な投資を考えている方は実物資産投資をご検討いただければと思います。
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