村上隆|作品やその価値について解説

    2023.01.27

    日本を代表する現代アーティスト・村上隆。世界最高峰のギャラリー「ガゴシアン」には彼の写真が5年以上も飾られています。まさに名実ともに世界でもトップクラスに位置する現代アーティストといえる存在です。

    今回は村上隆の人生、活動の内容、作品の価値についてご紹介。「村上隆ってよく名前は聞くけど、何がすごいのかは知らない」「これから村上作品への投資を考えている」という方に向けて解説します。

    村上隆の経歴と人生

    はじめに村上隆の経歴を、人生を追いながらご紹介します。

    活動初期

    村上隆は1962年に東京都板橋区に誕生しました。もともとアニメ好きな少年であり、高校卒業後にアニメーターを志望するようになります。それと同時に日本画にも興味を持っていたそうです。当時から「日本文化」に深い興味がありました。

    しかし、アニメーターについては挫折。日本画を習い、東京芸術大学 美術学部 日本画科に進学します。1991年には、個展 『TAKASHI, TAMIYA』を開催。これが彼の、現代美術家としてのデビューとなりました。

    2000年代に一躍有名に

    村上隆の名前が一躍有名になるのは2000年代からです。2000年4、5月には渋谷パルコギャラリーで「SUPER FLAT展」を渋谷と名古屋で開催。奈良美智、竹熊健太郎など、今や日本を代表する現代アーティストとなった面々が集まり、大規模な展覧会を開きます。

    その後、2001年にはロサンゼルス現代美術館別館パシフィック・デザイン・センターで「SUPER FLAT展」を開催します。また同年には有限会社カイカイキキを設立。もともと「ヒロポン・ファクトリー」として運営していたスタジオを法人化しました。

    2002年にはルイ・ヴィトンのアートディレクター、マーク・ジェイコブスからのオファーでバッグのデザインに着手。今やルイ・ヴィトンの定番ラインとなったモノグラム・マルチカラーを発表し、大ヒットを記録します。また村上隆の代名詞でもある「フラワー」や「パンダ」をあしらったデザインは、これまでルイ・ヴィトンのデザインをくつがえす斬新さが話題となりました。

    現在の活動

    その後、2005年にはニューヨークのジャパン・ソサイエティで「リトルボーイ—爆発する日本のサブカルチャー・アート」を開催。この展覧会は翌年にAICA USA(全米批評家連盟)による最優秀テーマ展覧会賞を受賞します。2008年には「世界で最も影響力のある100人」に選出されました。

    現在では現代アートにとどまらず、幅広い活動をしています。2013年には映画監督として「めめめのくらげ」を発表。2006年にはカニエ・ウエストのCDジャケットデザイン、2019年にはレディ・ガガのミュージックビデオを担当しています。ルイ・ヴィトンだけでなく、ニューエラなど、ファッションブランドとのコラボレーションにも積極的です。

    またカイカイキキの活動は今やアート作品の販売だけではありません。村上隆はプロデュースや飲食店経営など、経営者としての顔も持っています。

    さらにNFTでの作品販売にも挑戦しています。2022年5月にガゴシアンで展覧会を開催した際には展覧会前に販売した作品、127点が24時間以内にすべて売り切れるほどの人気でした。

    村上隆の世界観

    村上隆が表現したのが「スーパーフラット」です。先述した通り、村上隆はもともと日本画から現代のアニメ・マンガにいたるまでの日本の絵画文化に精通していました。日本の絵画に共通する特徴として彼が挙げているのが「平面性」です。日本の美術の特徴に、遠近感が薄く奥行きがなく平板な作風を挙げています。その結果、日本では美術作品とポップアートの差が小さく(フラットに)なっている点を指摘しています。

    村上隆の作品自体も「美術(ファインアート)」と、アニメ・マンガなどの「大衆芸術(ポップアート)」が入り混ざっている構図になっており、独特なかわいらしさが生まれています。

    こうした彼ならではのデザインは、結果的に(彼の意志とは関係なく)高尚さが漂うアート業界へのアンチテーゼにもなっているといえます。また高級ブランドにも彼のテイストが加わることで、斬新さが生まれている。「スーパーフラット」はセンセーショナルな作品に仕上がっているといえます。

    村上隆の代表作品

    では、ここからは村上隆の代表作品を挙げながら、彼の作風の特徴をご紹介していきましょう。

    お花

    村上隆の代表的なイメージです。彼はもともと東京芸術大学の受験時に毎日花を描いていたといいます。現在ではさまざまなイベントのメインビジュアルや、ブランドとのコラボレーション時に、表情のあるお花を描いているのが特徴です。またときには造形として立体的につくられることもあります。

    かわいらしさを全面に押し出したデザインになっていますが、観れば観るほどに日本の消費文化の空虚感を感じるのも確かです。

    My Lonesome CowBoy(マイ・ロンサム・カウボーイ)

    1998年に制作されたフィギュアです。スーパーフラットが表す通り、日本のサブカルチャー、大衆文化であるフィギュアと、精液を振り回すアート性の両方が共存した作品となっています。高さは288cmと大きく、キャラクター性の高い金髪の男性が精液をカウボーイのように振り回しています。

    この作品は2008年のサザビーズのオークションにて約16億円(1,516万ドル)で落札されました。この金額は当時のアジア最高額です。2013年に中国人アーティスト・曾梵志の「最後の晩餐」が2,330万ドルで落札され、塗り替えられましたが、現在でも日本人としては最高額記録となっています。

    HIROPON

    「My Lonesome CowBoy」の1年前、1997年に発表された作品です。こちらも1990年代当時の日本アニメのキャラクター性を意識したデザインとなっています。2m超えの作品です。非常にセクシュアルでスキャンダラスな作品ですが、キャラクター自体はエンターテインメント性のある可愛らしいデザインとなっており、話題を呼びました。

    2002年にクリスティーズのオークションにて約4,800万円で落札されました。

    五百羅漢図

    東日本大震災を機に制作された作品です。3×100mの絵画としては最大級の作品となっています。青竜、白虎、朱雀、玄武で構成された3×100mの超大型作品であり、十六羅漢を中心に500体の羅漢が描かれています。一般公募で選ばれた、美大・藝大の学生ら200人のメンバーで完成させました。

    この作品は2015~16年の個展「村上隆の五百羅漢図展」でも展示されました。同展覧会がきっかけとなり、村上隆は平成27年度(第66回)芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しています。

    村上隆のコラボ作品

    続いて、村上隆がブランド・キャラクターとコラボレーションした際の作品についてみていきましょう。

    ルイ・ヴィトン

    先述したとおり、村上隆は2002年に初めてルイ・ヴィトンとコラボレーションをしました。2003年には現在のマルチカラーの先駆けとなったアイ・ラブ・モノグラムを発表。同年、桜をあしらったデザインを発表しています。その後も、パンダ、表情のあるサクランボのイラストなど、可愛らしいキャラクターをあしらったデザインで、それまでの「ヴィトン像」を覆しました。

    ドラえもん

    村上隆は2002年の『「THE ドラえもん展」 依頼:あなたのドラえもんをつくってください(藤子・F・不二雄)』に参加して以来、ドラえもんとのコラボレーション作品を作り続けています。これまでは絵画作品、またその版画をメインとして、ユニクロのTシャツ「UT
    」やぬいぐるみでのコラボレートをしています。

    コラボレーション時のインタビューにて、村上隆は非常にドラえもんに対してリスペクトを送っており、誠実な仕事ぶりが伝わってきます。またドラえもんを皮切りにして、テレビ朝日、また六本木ヒルズと、表現の場が広がっている印象もあります。

    現在では版画が50cm四方のもので約11万円、60cm四方のもので約15万円となっています。

    ウブロ

    2021年から村上隆は時計ブランドのウブロとのコラボレーションをスタートしています。第一弾の「クラシック・フュージョン タカシムラカミ オールブラック」では限定200本でリリース。すべてブラックのカラーリングであり、中央には村上隆の代名詞である「お花」が配置されています。価格は約289万円でした。

    また第2弾では「クラシック・フュージョン タカシムラカミ サファイアレインボー」をリリース。こちらは限定100本、約1,225万円で発売されました。第一弾とは違い、透明なハードのなかにカラフルなカラーリングが施されているのが特徴です。

    村上隆のNFTアート挑戦

    村上隆は2021年より非代替性トークン「NFT」を使った作品の販売に乗り出します。最後に彼のNFTでのチャレンジについてご紹介しましょう。

    1度目のNFT挑戦:108 Earthly Temptations

    2021年3月に「お花」をドットで描いた「108 Earthly Temptations」をNFTマーケットプレイス「OpenSea」に出品しました。しかし彼はオークション期間中に出品を中止。その理由について、自身のInstagramで「ERC721や1155のメリットとデメリット」「独自のスマートコントラクト、ストアフロント構築の要否」などについて、より慎重に議論したい、と説明しています。

    2度目のNFT挑戦:RTFKT Studioとコラボ

    それから約半年後の2021年11月、村上隆はNIKE傘下のデザイン集団「RTFKT Studios」とコラボレーションしたNFTプロジェクトを発表。RTFKTのプロジェクト「Clone X」のキャラクターの目、口、髪型などをデザインし、それをランダムに組み合わせた2万個の3DキャラクターNFTを出品しました。

    村上隆のNFTアートの価格

    村上隆のNFT戦略は非常にレベルの高いものです。いまNFT業界ではアバターの売買が増えています。購入者がゲームなどメタバース空間で、そのアバターを使って楽しめるというバリューも持ち合わせています。アーティストとしてだけでなくビジネスマンとしても非常に優秀な方なので、今後もこの戦略を用いるのではないか、と予想されます。

    「Clone X」の3Dアバターは、プレセールでは約2万1,000円で販売されました。村上作品のNFTは投資目的で購入するのもおすすめです。2022年8月15日現在の最高額アバターで2,776ETH、日本円で7億円以上の価値が付いています。チャートをみると、リリースから下がることなく、右肩上がりで価値が上昇しているのが分かります。NFTとメタバースのアバターとの相性がいい限り、今後も上昇が期待できるでしょう。

    またNFTにおいて別のトレンドが出てきた際、村上隆はまた新たな作品を発表するかもしれません。そこにも注目です。

    まとめ

    今回は村上隆の作品の価値に重きを置いて記事を展開しました。彼のオフラインの作品も、NFTの作品も、今後とも価値は高まっていくと予想されます。数十年にわたって、日本のアート界のリードオフマンであり、日本のサブカルチャー文化を海外に広めたのも村上隆といえます。

    彼は生粋のアーティスト、というよりはビジネス市場をよく見る方です。ゆえに作品も、きちんとトレンドにマッチしたものを作ります。そのため、欲しい人が集まり価値が高騰する、という部分も投資をしたい方にとっては追い風になるところでしょう。
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